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カタツムリ 2回目へ

      シエナの人々は なぜ老いても元気なのか         工房主の考察


 シエナ郊外の町<サン・ロッコ>のお年寄りの例から

 1.年金を受ける年齢くらい(65歳)の人は・・・
   ◎元気な人は、地域のボランティア活動を積極的にする。(若者も参加している。)
    ・救急車の運転手や、タンカを運んだりする。(講習会もあり、資格も取っていく。)
    ・労働組合の事務としてボランティアで入る。
    ・外国人(移民)のための補習の先生をする。
   ◎バカンスを楽しむ。
    ・オートバイを夫婦で楽しむ。
    ・キャンピング・カーでの老夫婦の旅。
    ・船の旅(安い〜高い)
    ・地域の信用金庫が旅行を企画(年に2回くらい)
    ・教会の旅(パリなど)
    ・未亡人のツアー
   ◎孫の世話

 2.もう少し年上の人は・・・
   ◎男性は・・・
    ・家庭菜園などを作る。
    ・町の広場でお茶やおしゃべり(話題は政治、サッカー、噂・・・)
   ◎女性は・・・
    ・家の前で、近所の人とおしゃべり
   ◎男女とも社交ダンスが盛ん
    ・週末の午後、若者がディスコに行くように出かける。
     そこには生のバンド演奏がある。(子供の頃から社交ダンスに親しんでいる。)

 3.動けない人は・・・
   ◎家族で面倒をみる。
    ・家族が介護でおしつぶされることがないようにお手伝い(バダンテ)を雇う。
     *24時間体制で、部屋を与えてバダンテを雇うことは、各家庭で簡単にできる。
      それは、家の構造上も歴史的にも部屋にカギがかかるのが当たり前なことと、
      家の広さにも余裕があることが言える。
     *外国人の30〜50代の出稼ぎの主婦が多くいる。
      (ルーマニア、ポーランド、ソマリア人など)
   ◎病気の人には役所から治療する人が派遣されてくる。

 4.お年寄りの心
   ◎孤独にならない
    ・会社だけでなく、地域に戻り、ボランティアに参加したりする。
    ・教会の存在が大きい。(日常の相談、日曜日のミサなど)
    ・弱者やお年寄りに親切。
    ・男女共オシャレを楽しむ。(明るい華やかな色を着る→元気が出る)
    ・バカンスや旅行を家族中で楽しむ。


 食事について(昼食がメイン)

 1.オリーブ・オイル
   ・植物油の中でも、絞ったまま利用できる唯一の油。(生のままドレッシングに)
   ・オレイン酸という不飽和脂肪酸が多く、酸化されにくい。
   ・動脈硬化を抑える働きがある。(心臓病、血栓性疾患)
   ・ビタミンE、ポリフェノールが多く、抗酸化性が強い。
   ・加熱に対して、酸化現象が起こりにくい。

 2.赤ワイン
   ・ポリフェノール、アントシアン類の抗酸化作用がある。
    (動脈硬化、心血管障害に予防効果がある。)

 3.チーズ(特にナチュラル・チーズ)
   ・蛋白質、脂肪、脂溶性ビタミンA・D、カルシウム、鉄などのミネラル分を豊富に含んでいるため、
    癌、動脈硬化、骨粗鬆症、老化の予防効果がある。

     ナチュラル・チーズ(ミルクに乳酸菌と凝固酵素を加えて、発酵させたもの)
       ☆イタリアのチーズで代表的なもの
         モッツァレッラ
         ゴルゴンゾーラ
         パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)
         ペコリーノ(羊乳チーズ)
       *プロセスチーズは、ナチュラルチーズを加熱し、熟成を止めたもので、
        乳酸菌が生きて存在していない。


 4.野菜・くだもの
   ・イタリアではたくさん食べられる。
    特にトマトは、アルカリ性食品であり、各種ビタミン・ミネラルが豊富である。
    また、トマトに含まれるリコピンやβカロチンは、癌、動脈硬化を発症させる元凶となる活性酸素を
    封じ込める抗酸化物質として働く。

 5.ハーブ
   ・昔から薬として、防臭剤、防虫剤、香料として盛んに利用してきたが、味や香り、彩りとしても
    ハーブの役割は大きい。
    (バジル・イタリアンパセリ・ミント・セージ・ローズマリー・ルッコラ・フェンネルなど)

 6.空気と光
   ・外の空気を吸い、季節を感じながら、旬を大切にし、自然と共に食を楽しむ。
   ・昼間は木陰で、夜はキャンドルライトや間接照明のなかで食事や語らいを・・・

 7.人
   ・人と人のコミュニケーションがどこにでもたくさんある。
    (小さいうちからコミュニケーションの力を、訓練して身につける。)
   ・家族全員での食事や、ゆっくりと食事をするのが当たり前である。

 8.スローフード運動 発祥の地
   ・ファーストフードに対して生まれた運動であり、“ゆっくり食べよう”という運動ではなく、
    郷土料理を中心に、安全性を重視した食の運動のことである。


        <参考文献>
          「イタリアに学ぶ医食同源」 横山淳一著 中央公論社
          「スローフードな人生」   島村菜津著 新潮社
          「バール・コーヒー・イタリア人ーーーグローバル化もなんのそのーーー」
                        島村菜津著 光文社新書
 
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