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ボローニャの柱廊にて 18[終]

「意欲と情熱の国」
(週刊上田 2005年5月28日掲載)
週刊上田に連載されたものを、許可を得て掲載しています。

 イタリアは昔から外国から来て結婚してイタリア人になっている人、その2世が多い国です。2世とは、「ハーフ」ではなく、「ダブル」という認識です。
 ヴェキエッティ先生の先妻はフランス人。現在の奥さんはスペイン人。今回女房が語学を学んだ先生の夫はドイツ人。ほかにもスイス・オランダ・イギリス・スウェーデンなど、さまざまな国の人がいます。地理的にヨーロッパ人が多いですが、日本人もいます。
スケッチ  ヨーロッパは、通貨に象徴されるように言葉が違っても、いろんな民族がともにあって、ひとつの共同体だと感じます。
 私たちが滞在した時期、円はユーロに対して不安定で、両替のたびに「どうなってしまうんだろう」と不安に思ったりもしました。
 ほかにもうひとつ、未だ解けない疑問があります。これほど自己主張が強く、互いの違いや自由を何より大切にしている国民であり、高い文化を築き宗教心が強く、ノーブレス・オブリッジもあるイタリア人が、なぜ60数年間ムッソリーニによってファシズムへの道を進んでしまったのか、ということです。
 最後に今回の短期留学について、50代半ばになると何かやろうと思っても、決して誰かがお膳立てなどしてくれる訳はありません。しかし、いくつになっても目的をはっきりさせ、やろうと決意し、積極的に、たとえ時間がかかっても動けば、必ず力になってくれる人が現れるものと経験的に思いました。
 イタリアは意欲と情熱こそがすべてと言っていい国です。別の言い方をすれば、意欲と情熱がないと流されてしまい、やっていかれない国でもあります。
 外国で若いときに勉強や生活をすることと、年齢を重ねてからすることでは似ていても、かなり意味と値が違うものと感じています。
 怠け癖のついていた私の背中を押してくれた日本とイタリアの友だち、とりわけボローニャ・アカデミアの先生や学生たちに心から感謝いたします。
 長いこと拙い文を読んでくださったみなさんにもお礼申し上げます。
 Grazie Mille !

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