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ボローニャの柱廊にて 17「天使の国の大使」(週刊上田 2005年4月16日掲載) 週刊上田に連載されたものを、許可を得て掲載しています。 |
よくイタリアは「ラテンの国だから」と、わかったようなわからないようなくくられ方をされることがあります。 実際にイタリア人のなかで生活したり、学んだりしてみると、当たり前ですが人によってかなり違います。“お陽気”な人ばかりではありません。町によっても、ずいぶん気質が異なるように見えます。 反対に彼らからは、下手をするとイタリアに来たたったひとりの日本人の性格や生活態度から、それが日本人全体のパーソナリティと思われてしまうことがあります。 たとえば、これはアカデミアの日本人学生から聞いた話。アパートの部屋を借りようと探していた折、ある大家さんから「前に住んでいた日本人がとても汚く使っていたから」と断られたそうです。そのイタリア人にとっては、日本人=部屋を汚す人とインプットされてしまったのでしょう。 これまで一般的には、日本人は部屋をきれいに使うし、家賃を滞納しないと歓迎されることが多かったのですが…。 ひとりの日本人の行動によって、その後の日本人への対応が決められてしまうことがあり得ます。それ故オーバーに言うと、外国では誰でも日本を代表する人となります。 かつて犬養道子氏の本で「外国では日本政府から派遣された大使でなくても、観光で来たとしても、個人個人がその国での『大使』だ」と読んだことがあります。まさに、と実感しました。 私がこのアカデミアでそれほど嫌な日本人と思われなかった(と願いたい)のは、まえに留学した日本人がしっかりやってきたお陰だと思っています。 イタリアはとりわけ世界各国から観光客や学生が大勢来る国です。全世界の建築を含めての美術遺産の半分を有する歴史の国ですものね。 エトルリア・ローマ・ヴィザンチン・ロマネスク・ゴシック・ルネサンス・バロック…と、あらゆる時代の文化が目の前に教科書のように存在しているのです。そして、どの町にもいたるところに天使の彫像があります。 |
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