[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[15]
[16]
[17]
[18]
ボローニャの柱廊にて 14「ボローニャの影(後)」(週刊上田 2004年11月27日掲載) 週刊上田に連載されたものを、許可を得て掲載しています。 |
そんな町のなかに心休まるというか、ほのぼのすることがひとつあります。…私にとってはですが。 それは犬を連れた人をよく見かけることです。人込みのなかでも、犬連れが多いのです。犬もたいへんよく仕付けられていておとなしく、人やほかの犬に吠えることはありません。 大きな犬でも、ときにはバスにまで乗ってきます。飼い犬には、捨て犬対策としてすべてにお腹にいれずみでナンバーがつけられています。 いわゆるおもらいさん(乞食)には、寒い時期に町当局から犬が配給されていて、路上でともに暖まって寝るといった話を聞きました。 思えば、留学したのが厳冬期だからこそ、私は周りの寒さと薄暗さとで、気が散らずにアカデミアの半室外での政策に集中できた気がしています。 とは言うものの、日本とは違う底冷えが、中年の足腰にこたえましたが。 |
前へ 次へ |