工房mymyのタイトル 工房mymyのタイトル
[] [] [] [] [] [] [] [] [] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18]

ボローニャの柱廊にて 13

ボローニヤの影(前)
(週刊上田 2004年10月16日掲載)
週刊上田に連載されたものを、許可を得て掲載しています。

 日の光が強ければ強いほ ど、反対に影の部分がいっ そう深い闇になることを、 かつて夏のイタリアで感じ たことがあります。
 これまでは、どちらかと いうとイタリアの光の面を 述べてきましたので、少し 影の部分も書いてみます。
 ポローニャは中途半端な 大都会なのか、観光地でも ないせいか、また外国から 来ている人が多いせいか、 トスカーナの町などに比べ 互いによそよそしいところ があります。私はトスカー ナの小さな町が好きなので、 つい比較してしまいます。 冬の季節だったからよけい そうなのかもしれませんが、 気持ちが重く沈んでいる感 じなのです。
 町には麻薬中毒やアルコ ール中毒者が多くいます。 学生街にすらそんな溜まり 場があります。
 そして、意外に風情のあ るポルティコ(柱廊)が重 たいのです。初めは魅力的 に思えたのですが、ポルテ ィコのある分、車道の幅が 狭いのです。ことに裏通り を毎日通っていると、天井 が低いため日本の地下街の ように、上からのしかから れているような気分になる ことがあります。
 とくに冬は欲しい日の光 が、ポルティコや高い建物 群によってほとんど入って こないのです。雨や雪の日 とか、夏の日よけにはたい へんよいのですが…。広場 に出て、空が見えるとホッ とします。
 また、事の排気ガスがポ ルティコに溜まるのか、空 気の汚れもひどいです。そ もそもポルティコは、中世、 ポローニャが大学都市とな り人口が増え、2楷にひと 部屋増やすために道に張り 出して造られたのだと地元 の人に聞きました。
 さらにパスの乗り降りの ときにスリに遭ったり、空 き巣の被害も多いそうです。 そうしたことへの緊張感は、 われわれにとってはかなり 疲れる原因にもなります。

前へ  次へ


著作権



inserted by FC2 system